安心して毎日を 自宅を快適で安全な場所にするやさしい工夫
安心して毎日を 自宅を快適で安全な場所にするやさしい工夫
退職されてから、自宅で過ごす時間が増えたと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。セカンドライフを心地よく送る上で、自宅は安心できる大切な場所です。しかし、いざ自宅でゆっくり過ごすとなると、「家の中がなんとなく落ち着かない」「段差が少し気になるけれど、どうすれば良いか分からない」といった、日々の小さなことでも気になる点が出てくるかもしれません。
この記事では、退職後の暮らしをより快適に、そして安全に過ごすために、自宅を整えるやさしい工夫をご紹介します。難しいリフォームではなく、どなたでも無理なく取り組めるような身近なアイデアを中心にお伝えしますので、ぜひできることから試してみていただけたらと思います。
快適な暮らしのための身近な工夫
自宅が快適な場所であることは、心のゆとりにもつながります。まずは、日々の暮らしの中で少し意識してみると良い点から見ていきましょう。
1. 身の回りの整理で「ゆとり」を
以前の記事で身の回りの整理についてもお話ししましたが、ここでは「快適な空間づくり」という視点から改めて考えてみます。物が多すぎると、探し物をするのに時間がかかったり、掃除が大変になったりすることがあります。少しずつ、使っていないものを見直したり、場所を決めて片付けたりすることで、空間にゆとりが生まれ、気持ちも軽くなることがあります。例えば、よく使うものだけを手元に置く、引き出しの中を区切って整理するなど、小さな工夫でも効果を感じられるはずです。
2. 光と温度を心地よく整える
自宅での時間の質は、部屋の明るさや温度、湿度によって大きく変わります。
- 照明: 日中は自然光をたっぷり取り入れ、夜は温かみのある照明にするなど、時間帯によって照明を使い分けることで、リラックスできる空間を作ることができます。読書や手芸などをする場所には、手元を明るく照らすスタンドライトを置くのも良いでしょう。
- 温度・湿度: エアコンや加湿器、除湿機などを上手に使い、一年を通して快適な温度と湿度を保つことは、健康維持にもつながります。特に冬場の乾燥や夏場の湿気には注意が必要です。
3. 趣味やリラックスできる空間を作る
自宅の中に、ご自身の「お気に入り」を集めた場所や、趣味に没頭できる小さなスペースを作ることも、快適さを高める素敵な工夫です。例えば、好きな本を並べたコーナー、お気に入りの音楽を聴くための場所、手芸や絵画を楽しむ作業スペースなどです。ほんの小さな一角でも、そこにご自身の心が安らぐものがあるだけで、自宅で過ごす時間がより豊かなものになります。
安全な暮らしのためのやさしい対策
自宅での思わぬ事故を防ぐための安全対策も、安心して暮らす上で非常に大切です。大がかりな工事でなくてもできることから始めてみましょう。
1. 転倒を防ぐ工夫
高齢になるにつれて、家の中での転倒のリスクは増えると言われています。
- 段差の解消: 敷居が高い場所や、部屋と廊下の間に小さな段差がある場合は、スロープを置いたり、厚手のマットを敷いたりすることで、つまずきを防ぐことができます。
- 手すりの設置: 階段や廊下、浴室やトイレなど、立ち座りや移動の際に不安を感じる場所に手すりを設置することは、転倒防止にとても有効です。大工さんに頼まなくても、DIYで取り付けられる簡単な手すりもあります。
- 滑り止めの活用: 浴室の床や浴槽内、階段、玄関などに滑り止めマットやテープを貼るのも、手軽で効果的な対策です。
2. 防犯対策の見直し
自宅の防犯について、改めて確認しておくと安心です。
- 玄関や窓の鍵: 鍵が古くなっていないか確認し、必要であれば交換を検討しましょう。ワンドアツーロック(一つのドアに鍵を二つつけること)は防犯効果を高めます。
- 補助錠やセンサーライト: 窓に補助錠を付けたり、玄関や庭に人の動きに反応して光るセンサーライトを設置したりすることも、防犯対策として有効です。
3. 火災を防ぐ確認
火の元には日頃から十分注意したいものです。
- 火災報知器: 定期的に点検し、正しく作動するか確認しましょう。寝室や階段などに設置が義務付けられています。
- 消火器: もしもの時のために、使いやすい場所に小型の消火器を置いておくと安心です。
- コンロ周り: ガスコンロの場合は、火を消し忘れないよう注意し、IHコンロの場合は空焚き防止機能などを活用しましょう。コンロ周りに燃えやすいものを置かないことも大切です。
無理なく取り組むためのヒント
自宅をより快適に、安全にするための工夫は色々とありますが、一度に全てを行おうとすると負担になってしまいます。
- 小さな一歩から: 気になる場所を一つだけ選んで、そこから始めてみるのが良いでしょう。例えば、「玄関の段差にマットを敷いてみる」「使っていない食器を少し整理してみる」など、できることから取り組んでみてください。
- 優先順位をつける: 安全に関わること(転倒防止や火災対策)を優先的に行うなど、ご自身の状況に合わせて優先順位をつけることも大切です。
- 家族や専門家の力を借りる: 難しいと感じることは、ご家族に相談したり、地域の自治体や専門業者にアドバイスを求めたりすることも考えてみましょう。
まとめ
退職後のセカンドライフにおいて、自宅は最も多くの時間を過ごす場所になるかもしれません。この大切な空間を、ご自身にとって心地よく、そして安心して暮らせるように整えることは、日々の満足度を高めることにつながります。
ここでご紹介した工夫は、どれも特別なことではありません。身の回りの小さなことを見直したり、少し手を加えたりするだけで、自宅はもっと快適で安全な場所になります。完璧を目指す必要はありませんので、まずは「ここを少し変えてみようかな」と思う場所から、楽しみながら取り組んでみてはいかがでしょうか。自宅が安心の土台となり、これからの毎日がさらに豊かなものとなることを願っています。